多額の産業補助金に支えられた日本、オーストラリアの経済安全保障政策は、リスク管理と「小さな庭」の周囲に「高いフェンス」を築くことを意図している。「小さな庭、高いフェンス」という考え方のポイントは、少数の産業と技術を保護しつつ、それ以外の分野では自由貿易を維持することだが、米国では「小さな庭」が拡張し続けている。国家安全保障上の利益が本来の目的を超えて拡大し、露骨な保護主義と結び付くことで、他の国々 ...
9月半ばの日本経済新聞の世論調査では、正社員の解雇規制の緩和について「現状の規制は厳しいので緩和すべきだ」との回答は45%で「現状のままでよい」が43%と賛否が相半ばしている。本稿では解雇規制改革が必要な理由を整理し、どのような改革が望ましいのかを提案したい。
2019年に幼児教育・保育無償化が始まった日本に先駆けて、カナダのケベック州では1997年から大幅な保育料引き下げが行われた。約20年経過した頃から、同州の保育料引き下げの帰結を分析した論文が注目を浴びている。保育料引き下げ後に保育所を利用した子どもたちが20歳代になったときの非認知能力、健康、生活満足度、犯罪関与にマイナスの影響があったというのだ。
自民党の新総裁に石破茂氏が決まった翌営業日の9月30日、東京株式市場は急落し、下げ幅は一時2000円を超えた。石破氏が金融所得課税の強化に前向きだったことが一因とされる。
世界経済が新しい局面に入り、インフレ環境の中、日本企業はいよいよコストカット型経営を脱皮し、高付加価値追求型の経営への転換が求められている。しかし長い間、抑制的な投資戦略が善であるとする経営に慣れてしまった経営者のマインドを変革するのは容易なことではない。目の前の人的投資問題やSDGsへの対応を超えて、根本的なレベルで経営に創造性を取り戻すためのヒントとして、デザイン経営という視点がある。 このた ...
米ハーバード大学の政治経済学者、ダニ・ロドリック教授は米ニューヨーク・タイムズ紙で3氏の受賞について、「民主主義が長期の経済発展に重要な影響を与え得ることを明確にした」とのコメントを寄せた( 注2 )。
10月18日、オーストラリア国立大学のShiro ARMSTRONG博士が、第20回中曽根康弘賞の最高栄誉である優秀賞を受賞しました。ARMSTRONG博士は、アジア太平洋地域を代表するエコノミストとして、日豪を中心とした国境を越えた協力関係の推進に尽力し、同地域におけるネットワークの醸成や政策対話に積極的に取り組んできました。 中曽根康弘元首相が1988年に設立した中曽根平和研究所(NPI)は、 ...
近年のロシアによるウクライナ侵攻や米中デカップリングといった事例から、我々は地政学リスクが貿易を通じて世界全体へと波及するという事実を目の当たりにしました。
気候変動や資源エネルギー問題、財政やインフラの維持管理など、世代をまたぐ長期課題に対処し、持続可能な社会を維持するためには、どのような社会の仕組みをデザインし実践すればよいのか? 大阪大学環境イノベーションデザインセンター(当時)の研究会「七世代ビジ ...
人工知能(AI)の利用が急速に拡がる中、それが経済成長や労働市場に対してどのような効果を持つのかへの関心が高い。しかし、AIの利用実態に関する統計データが乏しいことが、実証研究の大きな障害となってきた。本稿は、企業および労働者に対する独自のサーベイに基づき、日本におけるAIなど新しい自動化技術の利用実態、それらを利用する企業・労働者の特性、AIが生産性や雇用に与える効果についての見方を概観する。そ ...